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男は恥ずかしそうに辺りを見回すと椅子に座り店長を睨み付ける。
ぷっ…かっこわる。
周りにいたお客たちは大概が常連で店長のことを知っているので余り騒いだりはしない。
むしろ小さな拍手をしていることだろう。
「で、なんの話だよ。」
男そっぽを向いたままサキに聞く。
「あのね、もう私に付きまとわないで。私はもう新しい道を進みたい。」
男は端から見てもあきらかに手をあげそうだったが
店長がニッコリと微笑みかけるとすぐに座り直すとボソッと声をだした。
「なんだよ…。」
それっきり男はうなだれたように肩をおとす。
「あなたも自分をみがきなさい。」
「お前に何がわかんだよ。」
男はその後は何もしゃべらずに静かに店をでていった。
「もし、また何かあったら言ってください。」
店長はあの優しい笑みを浮かべてコーヒーのおかわりをサキの前に置いた。
「あの、店長さんはお付き合いしてる方とかいるんですか?」
って…サキ?何きいてんの?
「いませんが…。」
さすがの店長も苦笑いを浮かべる。
サキはそんな店長を見つめて微笑む。
まさか…サキぃ。ダメだからね。
なんて私が言えるわけもなく笑うしかなかった。
「こうみえて店長強いからね~。何かあったら言うんだよ。サキ。」
でもサキ、店長とらないでね。
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