第三章

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「あっあの人。」 指を差した先には一人の老人が座っている。 「あ~。よくそこの花壇に水をあげている向かいのビルの守衛さんですね。」 さすが店長 よくわかってらっしゃる 私達がみているのを感じたのか守衛さんはペコリと頭を下げて笑顔で返してくれる。 「やさしそうなおじいさん。」 私が言うと 「そうですね。あの花壇もあの方の愛で溢れていますからね。」 なんか店長っていくつなんだろって思う時あるんだよなぁ。 そんな守衛のおじいさんの話をしてから 一週間程して あの花壇が枯れているのに気がついた。 「店長。最近、守衛のおじいさんいないですね。体調崩しちゃったんですかね。」 私は閉店間際の外も暗くなり始めた頃に店長に話かけた。 店長はいつもの椅子に腰をかけて窓を眺めながら言う 「そうですね。花壇も枯れてしまいましたね。まりもくん、明日から…」 店長の話を遮るように店のドアが開いた。 私も店長もドアの方に目を向けたがお客さんの入ってくる気配はない。 「風…かな?」 店長は真面目な顔をして黙ったままだ。 「も~、びっくりした。」 私がドアの付近を見に行くとやはり誰もいない。
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