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「えっ?」
彼は不思議な顔をして再び椅子に深く腰を落ち着けカウンターの奧に目を向けた。
そのあとの彼女が奥から姿を出した時の彼の顔があまりにも印象的でしばらく忘れられないだろう。
「お、おまえ。いつから?」
彼があわてふためくのをよそに彼女が涙声で話はじめた。
「まだ…まだ遅くないよ。支えあっていこう?私はあなたと一緒ならいつでも笑っていられるから。」
これにはさすがの私もうるっときちゃった。
店長は彼らに微笑みかけ小さなケーキをカウンターにおき。
「おめでとうございます。」
と言って彼女もカウンターにどうぞと手招きをした。
彼らは店長の出したその小さなケーキに二人でフォークを入れる。
その顔はお店に入っていた時とはうって変わって幸せそのものだった。
きっと店長にはこうなる事がわかっていたんだろう。
なんでも見通したような不思議な人。
それから…
「おせっかい。」
私が小さな声でつぶやくと店長は私を見つめて
「わりとですよ。おせっかいなのは。」
と言って優しい笑みをこぼした。
きっとまた明日も『わりと』おせっかいをやくのだろう。
でもそんな店長が私はやっぱり好きなようだ。
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