第一章、逆らうことが出来なくて…。

8/20
前へ
/137ページ
次へ
まあ何はともあれ、お嬢様がこうおっしゃっているのだ。 基本的にワガママなど言わないお嬢様の御言葉である。 僕としては、残り少ない専属メイドの仕事を失敗してお嬢様と気まずいお別れとかはしたくない。 「かしこまりました雪菜。」 言ってみて思ったのだが、敬語を使いながら呼びつけにするとか、とてもミスマッチである。 まあメイド服に身を纏った男って時点で既にミスマッチなので今更と言えば今更であるのだが…。 「ありがとうございます優様」 しかしお嬢様的にはノープロブレム、寧ろ何がそんなに嬉しいのやら? 瞳をキラキラさせながら頬を桜色に染め。 今にでも、我が人生にいっぺんの悔いもなし! とどこかの世紀末覇者のように叫びそうである。 たまにお嬢様が分からなくなる。
/137ページ

最初のコメントを投稿しよう!

172人が本棚に入れています
本棚に追加