第一章

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 今俺の前には王様がいます。もっと太ってる人間を予想してたのに、意外と細いです。がっちりしています。この人は金髪金眼。どこぞの錬金術士を彷彿とさせます。 「そなた達が召喚の儀で召喚された勇者か」 「はい」 「いいえ、ケフィアです」  光があまりにも素直に頷くので、一発かましてみた。しかし王様は俺を完璧にスルー。以後光にしか声をかけなかった。 「余はフィディール王国国王『グレイセス・ミスリル・ガン・フィディール』だ。そなたの名は聞いておる。この国の勇者として、世界の希望として存分に働くがよい」  超上から目線でそう光に言う王様。名前にテイルズが入ってる気がしたが、スルーでいこう。きっと気にしてはいけない部分なんだろう。 「自己紹介が遅れましたね。私は『メイリン・マーズ・フォン・フィディール』です。よろしくお願いします」  何故か俺の方に目配せしながら言う王妃。なんか気に入られたっぽい? しかしマーズか……アクエリオンかよ。  というかなんだよこの状況。俺どんどん勇者の道を歩まされてる気がするぞ。あいつら俺の話聞いてくれないし。 「しかし勇者か……流石と言うべき波動の強さだな。これなら魔王も倒すことが出来よう」  波動とか……日本だったら中二病とか言われて馬鹿にされてるぞオッサン。その年になって波動とかぷーくすくす、みたいな。  
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