プロローグ

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 今日も今日とてトラブルに巻き込まれる俺は不幸の擬人化上条さんにも負けず劣らずの運命を背負っているんじゃないかと自分の存在に疑いを持ちはじめた今日この頃。  前から迫ってくるスキンヘッドの厳ついヤーさんみたいな人の顎を、振り返りざま回し蹴りの要領で蹴り飛ばして片を付ける。周りにはそんな感じでぶっ飛ばした奴らが何十人も転がっている。阿鼻叫喚の図なわけだが、男に囲まれても何も嬉しくない。逆に気持ち悪いわ。  そんな感じで顔を歪めている俺の横には、艶のある黒髪の短髪できりっとした意志の強さを覗かせる黒目を疲労の色に染めて、細身だがある程度の筋肉がついた身体をアスファルトの地面に投げ出し何故かへばってる今回のトラブルの発端『朝原光(あさはらひかる)』が寝転がっていた。  俺の幼なじみのこいつはジャニーズ事務所も目じゃないくらいのイケメンで頭も良く身体能力も高い。そして性格も誠実で困っている人は放っておけないという、もうなんなのこいつ神様にでも愛されちゃってるんじゃね? ぐらいの高スペックを誇る人外。  俺はこんなのを人とは認めない。  対して俺はどこからどう見ても一般ピーポーな人間。時々光から「お前人間か?」とか言われるが、失礼極まりない。俺から言わせると光の方が人間じゃないからな。  そんな俺達がなんでこんなヤーさん相手にやらかしたのかと言うと、隣でへばってる光がヤーさんに絡まれてる女の人を助けに入ったからだ。俺は巻き添え食らっただけです。  でまあ、光が助けに入ったその女の人はヤーさん達に不当な利子(よーするに借金してたんだなーこの人)を迫られていた所だったらしく、そこにたまたま学校帰りの俺たち(正確には光が)遭遇。
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