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そこで王様は一息溜めると、今までで一番大きな声で従者の名前を発表した。心が籠っているともいえる。
「『ミリア・ミスリル・フォン・フィディール』!」
一瞬会場が騒然となるが、一気にざわめきに包まれた。一国の王女が危険なたびに同行するのだから仕方ない。しかしそんな空気をものともせずに、クソ王女は光の所まで嬉しそうに小走りで駆けて行った。
「ヒカル様! これからよろしくお願いしますね!」
「でも、大丈夫なの……?」
「私はこれでも聖職者なので治癒能力があります。問題ありませんよ!」
「そう……? ならいいんだけどね。これからよろしく、ミリア」
「はい、よろしくお願いします!」
あり……? あの赤い女剣士じゃない……?
『あの人間の王女には何も言わぬのじゃな、主よ』
『俺あいつ嫌い』
明確に答えを返す。嫌いな人間のことに心のキャパシティなんて割り振ってられない。あんなクソ王女なんかよりも赤い女剣士の方が気になる。光のパーティに入らなかったってことは必然的に俺のパーティに入るってことか。
……やっべ、超こえーんだけど。
『どうした、主よ』
ディアナの声に少し心配の色が混ざってた。
『あの赤い女剣士、光のパーティに入らなかったってことはつまり俺んとこのパーティに入るってことだよな……』
『ふむ……普通に考えればそれが妥当じゃな。して、それにどこか問題でも?』
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