第一章

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「あ、あああの、センリ・フルールです……。よ、よろしくお願いします……!」  挨拶するだけでいっぱいいっぱいという感じ。物凄く緊張しているのだろう、身体が少し震えている。俺相手にそんな緊張しなくてもいいと思うが、まあ初対面だし仕方ないね。俺一応勇者だし。  俺はそんなセンリの手を掴むと「よろしく」と言ってフードの下の顔を覗き込んだ。  フードの下の顔は茶色い大きな瞳と赤い唇。肩辺りで揃えられた茶髪の髪と可愛らしい顔立ち。その顔に緊張の色を濃く滲ませる少女の顔があった。 『ふむ……ここまであやつの従者と差があると流石のわらわも憤りの感情が芽生えるぞ』 「あれは……魔導部門の落ちこぼれじゃないか」「王は邪魔な第二の勇者共々国のゴミを廃除しようとしているのか……?」「とんだ茶番だな、あんな従者などいてもいなくても一緒じゃないか」 「全部聞こえてるっつーの」  俺はそう呟きつつ王様……いや、もう王様とか呼ぶ気も起きねえ。クソオヤジの言葉を待った。 「二人目の従者は王国軍少尉『イリア・スカーレット』!」  クソオヤジの言葉に不機嫌そうに俺の方へ歩いてくる赤い女剣士。やっぱりあいつが俺のパーティに入って来るか。  赤い長髪をポニーテールに纏め、吊り上がった目は不機嫌そうにこちらを睨んでいる。雪みたいな白い肌に、赤い長髪と髪がよく映える。普通の顔をしていれば普通に美人そうな女剣士。  
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