第二章

3/28

9179人が本棚に入れています
本棚に追加
/263ページ
 なので魔物の暴走を止め、魔物を減らす為に魔王討伐をするという人間の大義名分は事実を知っている者からすれば相当荒唐無稽らしく、魔族はおろか魔物ですら人間に興味は無いんだとか。  魔物が暴れるのは人間が自らの縄張りに入って来た時だけで、普段はその辺の動物と変わらない自然の一部なのだ。だから悪戯に戦火を広げているのは人間であり、人間が今の領土で我慢し魔物の縄張りに入らなければ魔物と人間が争うことはほぼ無いと言っていい。  そう俺に説明してくれたディアナはふて寝を決め込んだらしく、今は不機嫌そうな寝息しか聞こえない。怒ってふて寝とか、随分人間らしい女神じゃねーか。そういうところ割と馬鹿にしてます。嘘だけど。  ディアナがふて寝したことで俺も暇になる。光の部屋は遠いし、あいつはメイドさんやら今日紹介があった従者やらが捕まえていて、到底話せる雰囲気じゃない。まあリア充は放っておこう。触らぬリア中に祟りなし、だ。  そんなことよりもまずイリアの目的だ。  あいつは魔王。それはわかった。さっきのが意図的にせよ偶然にせよ、俺の正体を知っていることを俺にばらしたのだから、遅かれ早かれ正体を明かしていたのだろう。それが早まっただけと考えればいい。  ただ、なんでイリアがこんな所にいるのかがわからない。ディアナの話から魔王城とかが無いことはわかってるけど、だからってこっち側にいる意味がわからない。    なんなの? 俺より強い奴に会いに行く。とか言って出てきたのか。女性だけど。
/263ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9179人が本棚に入れています
本棚に追加