第二章

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 まあ、それを置いといたとしても俺の正体を知っていた。そしてあんなに近くにいながら自分の命を狙う者達をスルーだ。いつでも殺すことが出来ただろうに。相手にしていないだけなのか、それとも相手に出来ないのか。  どっちにせよイリアが相当力を持っていることは明らかだ。邪神の力を手に入れた俺に冷や汗をかかせる程の力だ。今の光なんざ一瞬であの世逝きだろう。  ディアナいわく歴代魔王の中でも最強かもしれない力らしい。そんなイリアが力を相当に抑えて人間の下に着いている。そして俺が召喚された場所にいて、邪神だと知っていた。今は俺の従者になっている。  ……謎だ。もしかしたらイリアは邪神(俺)が召喚されるのを知っていて、一足先にこの王国に来たのかもしれない。そして士官して、そこそこの戦果で勇者の、正確には邪神の従者入りを狙う。  そう考えるといいのかもしれないが、いかんせん俺は光に巻き込まれてこの世界に来た人間だ。その俺がたまたま邪神だっただけであり、ホントに偶然この世界に来たのだ。言わばイレギュラー、ゲームで言ったらバグだ。  そんな確率的には圧倒的に低過ぎる出来事をわざわざ魔王自らが狙うだろうか? いや、普通は狙わないはずだ。  もし仮にそうだとしても、魔王は一体邪神に何を求めたのか。あるいは何を求めるのか。  ……謎だ。    さっぱりわからん。なんなんだろうな。
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