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センリがベッドに近付いて来る。肩辺りに切り揃えられた茶色の髪が揺れる。よく見たら結構可愛らしい顔立ちしているが、その自信なさ気な表情で可愛さ成分が下がってしまっている。もったいない。
上体を起こしてセンリに顔を向ける。
「んで、なんだ? 飯か?」
「あ、いえ……確かにそれもあるんですが……そ、その……えと……あの……」
もじもじして続きを話そうとしないセンリ。けどそれは話すことが無いんじゃなくて、自分に自信がなくて口が開けないような、そんな感じだった。
「んー? いいよいいよ別に。怒らないからなんでも言ってみ?」
「え……あ、はい……!」
出来るだけ優しくそう言うと、センリは幾分迷った後意を決したように口を開いた。
「ユ、ユウリ様……あの……差し出がましいかも、しれませんが……イリアさんには……その……き、気をつけた方が……いいと、思いますよ……」
「……なんでさ?」
突然のセンリの言葉についけんのんな声で返してしまった。声を出してからしまったと思い、センリを見るとビクッとなって涙目になってた。
やっべ、どうしよう! 女の子泣かせちゃった!
やらかしてしまった。いや、そんな簡単に泣くとは思わねーじゃん!?
「ひぐっ……だ、だって……その……ぐす……い、イリアさんから……その……ま、魔物と、似た気配が……したからぁ……!」
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