第二章

8/28
前へ
/263ページ
次へ
 俺が急に黙り込んだことを不思議に思ったのか、センリが泣きながら俺の顔を覗き込んでくる。意外と大きい瞳を瞬かせている。涙のせいで少し潤んでいる。 「なあ……これからちょっとある人に会ってもらいたいんだけど……いい? ああ、怖い人じゃないよ。見た目はセンリよりちっちゃいしね」 「ふぇ……? ええ、いいですよ……? でも、誰に?」 「神様」  不思議そうに聞いてくるセンリに端的にそう告げる。ビックリするセンリを尻目に俺はディアナのイメージを固くする。俺の中のディアナの力も相成ってそれは急速に形を持っていく。  俺の影がグアッと広がると黒く輝き出す。黒く輝くって変な表現だけどそう表現するしかないのだから仕方ない。ズズッと影が盛り上がっていき、徐々にディアナの形を取っていく。その場面だけを見ればどう考えても女神というよりは魔族とか邪神とかといった輩の登場シーンに見える。 「ヒィ……! な、何……!?」  ぶっちゃけセンリが怖がるのも無理はない光景が広がっていた。  完璧にディアナの形をとった影は一瞬光り輝くと、裏の世界で会ったままのディアナになった。 「まだまだ力に慣れていないのう、主よ。これほど顕現に時間がかかっては戦闘時に主の力が発揮できんぞ」 「仕方ねーだろ、今魔剣が手元にねーんだから。魔剣があったらもっとスムーズだったはず。というか戦闘ん時は魔剣があれば十分だろ、たぶん」  
/263ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9179人が本棚に入れています
本棚に追加