プロローグ

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「ミリア、俺達――」 「気安く呼ばないで下さい」  うっほほーい。光は呼び捨てスルーだったのに俺は注意されるのね。但しイケメンに限るってか。OK把握。俺の中の方針決定。 「そもそも召喚の儀で呼び出される勇者は一人しかいないんです。貴方は一体なんなんですか? 勇者様の従者ですか?」 「俺は光の従者じゃない、幼なじみだコノヤロー。俺は光みてーにこんな世界救う気なんてねーしむしろお前の態度から壊したい。もちろん勇者なんてやんねーし、どっちかって言うと俺は魔王タイプの人間だ。だから今すぐ俺を元の世界に戻しやがれ」  俺がそう言うと光が慌ててこっちを見てくるし後ろの騎士達は腰の剣を一斉に抜くしクソ女は肩をプルプルさせて怒り浸透みたいな感じになるしで、なんか場に緊張感的な何かが漂い始めた。  ま、王族に対してあの暴言だからな。いくら光と一緒に召喚されたとはいえ不敬罪? ってやつで捕まってもおかしくはない。ま、わかってやったんだが。  俺の発言で一気に険悪な雰囲気になった感じだけど、ここで黙ったりしたら話が先に進みそうにないというか、流されてしまいそうだ。そんなのは俺としてはごめん蒙るわけだから口を閉じるわけにはいかない。 「そもそも自分達の世界のピンチは自分達で解決するもんじゃねーのか? それをこんな見ず知らずの異世界人に頼るとか、情けねーとか思わねーの?」  俺がそう言った瞬間、クソ王女サマの中でなんかキレたらしい。後ろの騎士に俺を討ち取るよう指示を出した。マジかよ。これは予想外だ。……けどま、光がいればなんとかなんだろ。  そんな軽い気持ちで突っ立ってる俺に騎士達が剣を構えて向かってくる――というところで部屋に綺麗な、それでいて人を従わせるような力を持ったソプラノの声が響いた。
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