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「剣を収めなさい。その者は召喚の儀で召喚された勇者なのですよ」
凛とした女性の声。騎士達のさらに後方にある両開きのでかいドアが開いていて、そこになんかすっげー高級そうなドレスを着た水色の髪の女性がいた。良く見ると目も水色っぽい。
その人のおかげか、騎士達はおとなしく剣を鞘に収めた。その様子から、どうやらあの人は王女よりも上の立場の人らしい。ファンタジーな世界で王女より身分の高い女の人なんて俺は王妃しか思い浮かばない。もしくは女王。
「お母様!? 何故此処に!?」
どうやら当たりらしい。目の前のクソ女が慌てている。
「思ったより強い波動を感じたからよ、ミリア。来てみたらびっくり、勇者が二人もいるじゃない」
「違います! 勇者はこの方だけで、こっちの馬の骨は勇者でもなんでもありません!」
勇者の時に光を指して、馬の骨の時に俺を指してそう喚くクソ王女サマ。ここまでボロ糞に言われたらいくら温厚な悠里さんでもいい加減に怒りますよ? ちなみに今までのは別に怒ってたわけじゃないんですよ? ええ、本当ですよ? ……いったい誰に言い訳してんだ、俺。
「キレちゃ駄目だからな。さっきみたいになるから今は堪えてくれよ、悠里」
イケメンが俺に耳打ちしてくる。うるせ、お前に俺の気持ちがわかるかリア充爆発しろコノヤロー。
「けど、そのミリアが言う馬の骨も勇者様と一緒に召喚陣から出て来たのではないの? だったらその馬の骨も勇者様と同じじゃない」
あ、それに関しては全力で否定させていただきます。
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