虎若子とコラボ小話

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――甲斐、上田城。 城の主である幸村は、最近ある悩みを抱えていた。 それは―…。 「鴉さん、お団子どうぞ。」 「有難う御座います美音様。頂戴致します。」 「美味しいですか…?」 「はい。美音様が作られる物はどれも美味です。」 「……。」 恋人である美音と、守護役の忍である鴉。 最近特に仲が良く、二人きりで過ごす時間も多いようだ。 その代わりに…。 「某に…構ってくれないで御座る…。」 そう、自分と美音が二人で過ごす時間が減ったこと。 これが悩みである。 「幸村?食べないの…?」 「た、食べるで御座る。」 団子を頬張りながら思案する。 (美音に構ってもらうには…そうでござる!) 何かを思いついた幸村は、翌日に実行に移した。 朝早く。 美音がいつもの通り幸村を起こしに行く。 「幸村、起きてる?」 返事はない。 「?」 部屋を覗くが、姿はなかった。 「えっ…幸村…?」 「…旦那なら武者修行だってさ。」 佐助が天井裏から顔を出す。 「武者修行…?一体何処に…?」 「さあねぇ…それだけしか聞かなかったから。」 「そうですか…。」 (どうして急に…私には何も言わずに…。) チクリと心が痛んだ。 「ま、直ぐ帰ってくるよ。気にしない気にしない♪」 「そ、そうですよね…。」 「……。」 (あーあ…悲しそうな顔させちゃって…。) 佐助は美音に気付かれないようにため息をついた。
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