虎若子とコラボ小話

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美音は頷いたが、鴉は不審そうに佐助を見ていた。 「……。」 (…何か知っているのか…。) その視線に気づいたのか、佐助は背を向ける。 「じゃあ俺は見回りに戻るから。」 「あ、はい。お願いします。」 「…美音様、お部屋に。」 鴉は佐助に一瞥すると、美音を部屋へと促した。 部屋に戻ると、美音は大人しく横になった。 「…鴉さん…。」 「はい。」 「…明日は…帰ってきてくれるでしょうか…。」 目を閉じたまま、小さく呟く。 「美音様…。」 「…お休みなさい。」 そう言ってもまた今日もまともに眠ることなど出来はしない。 「……。」 (美音様…。) 鴉は美音に礼をしてから屋根に上がった。 「…全く…何を考えておるのだ…あの若子は。」 風を浴びる。 紫の瞳は今は月を映す。 「明日…か。」 暫くそのままで、静寂を楽しんでいた。 心が静まるようにと。 ――翌日。 「…美音様…?」 鴉は美音の部屋を訪れたが、気配はない。 「…?」 (美音様…何処に?) 城に気配がない。 (違う…感じられない…!) 「佐助!」 「鴉?どうかしたの?」 嬉しそうに顔を見せるが、鴉の表情を見て直ぐに真剣な表情になる。 「美音様の気配が…!」 「美音ちゃんが…まさか…。」
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