虎若子とコラボ小話

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別れて、美音を探す。 「美音様!」 「美音ちゃん!」 廊下を朝早くからかける。 何事かと振り向く女中を無視し、ひた走る。 すると。 幸村の部屋の手前でその姿を見つけた。 「…!美音様…!」 「っ…。」 「美音様っ!!」 ふらつき、今にも倒れそうな身体を支える。 「あ…鴉…さん…おはよう、ございます…。」 顔色は青い。 (無理が祟ったのか…。) 気配を感じなくなるほど身体は弱っているようだ。 「美音様…部屋に戻りましょう。」 「でも…幸村が…。」 「戻りましょう。」 「あっ…。」 有無を言わさず抱き上げる。 ちょうどそのとき。 「美音ちゃん居た!?」 佐助が合流した。 「ああ…。」 「良かった…美音ちゃん探してたら…最近見かけなかった人を見かけたよ。」 「!…幸村、ですか…?」 「うん。」 美音の表情が明るくなる。 久しく見ていなかった優しい笑み。 「そう…ですか…。なら…出迎えに行かなくちゃ…。」 美音は鴉を見る。 降ろして欲しいと、目が語っている。 鴉は意見を言おうとしたが、笑顔を見てしまったら何も言えなくなった。 「…承知しました。」 美音が床に足を着ける。 ゆっくりと歩いているが、やはり足は覚束ない。 「…はあ…。」 「……。」 「あっ、旦那だ。」
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