虎若子とコラボ小話

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(くだらない理由で…。) 「あ、くだらないって思ったでしょ?」 「当然だろう。」 「そーかなー…俺様、結構旦那の気持ち解るけどなぁ…。」 一歩。 佐助は鴉に近づく。 「どういう事だ?」 「そりゃあ…誰かさんが、美音様美音様って…美音ちゃんの事しか考えてないみたいだから。」 「!」 距離を取ろうとした鴉の腕を掴む。 「構って欲しいって思っちゃうのも、仕方がないんじゃない?」 「さ…佐助?」 真剣な瞳に、動揺する。 佐助の行動の意図が読めない。 「そりゃあ俺達忍だし?主のために働くのは当然だけどさ。」 「!」 今度は肩を掴まれて引き寄せられる。 身体を揺らして見るが、がっちりと掴まれているため離れられない。 「偶には…いや、頭の隅でいいからさ…俺の事も考えて欲しい。」 「……。」 「少しくらい、いいでしょ?」 コツンと頭をぶつける。 「…馬鹿だな。」 「馬鹿とは酷いなぁ…結構真剣なんだけど。」 「…そうじゃない。」 「ん?」 風に消されてしまいそうな小さな声。 聞き漏らさないように耳を澄ませる。 「そんな心配は、いらぬ。」 「鴉?」 「…少しは、考えてる。」 「!…そっか…。」 佐助は柔らかい笑顔を浮かべた。
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