虎若子とコラボ小話

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その頃。 幸村は枕元で美音が目覚めるのを待っていた。 「ん…。」 「!美音っ!」 「あ…幸村…。」 視線を合わせると、互いに安心したのか。 笑顔を向け合う。 「佐助が作った粥があるのだ…食べれそうか?」 「うん。」 体を起こす。 少しでも睡眠が取れた事が幸いし、顔色は随分良くなっていた。 食べやすい熱さになった粥を、ゆっくりと口に運ぶ。 「美味しい…。」 久しぶりにまともに食べたかもしれない。 食べ終わると、また体を布団に預ける。 「…美音…。」 「幸村?」 「美音…その、す…すまなかった…。」 頭を垂れる。 「どうして…謝るの?」 「某が…心配をかけたから…。」 「そんなこと…。」 「…美音、その…実は今回の件は―…。」 幸村は正直に気持ちを話した。 鴉だけでなく、自分も見て欲しい。 その思いから、始まった。 「そう、だったんだ…。」 「う、うむ…。」 きょとんとした表情の美音から、視線を逸らす。 きっと、嫌われる…そう思ったから。 しかし、聞こえてきたのは責める言葉ではなく。 小さな笑い声だった。 「美音?」 「ごめんなさい…何だか、可愛らしくて…。」 「か、か、可愛い!?某がで御座るか!?」
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