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道行く人々の活気が息づく街、ロンブルにあるヴァイスの片隅で何かしているのか、彼は道端に座り込んでいた。
彼の名前は、チェシャという。それ以上でも、以下でもない。
俗に“昏きもの”とも呼ばれている吸血鬼であるのだが、“紅”“琥”“蒼”“翠”の四大に分かれていて、そうした血族の中でも“蒼”の一族に位置するのがチェシャなのだ。
吸血鬼といえば、ニンニク嫌い、水嫌い、十字架嫌い、聖書嫌い……などなど、一般の人間が知り得る事はそんな感じであろう。
だが、彼ら“昏きもの”は一般に知られているそれとは違う。
普通にニンニク料理が好きな者もいれば、水浴びが日課の者もいる。何より十字架をアクセサリーとして使用する者、聖書を愛読書とする“昏きもの”までいる程だ。
そんな彼らには、当然の事ながら直射日光すら通用しない。
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