第一章・―恋愛オムニバス―

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 チェシャはある時から、他人と目線を合わせるのが苦手になってしまったのだ。だから、前髪で瞳を隠す。  しかしそんなチェシャの外見を素敵だと言ったのは、他ならぬ契約主のリーテ=ソレイユで、故に彼は、彼女の全てを、全力を以て、騎士として護っているのだ。  そして肝心の目的だが、チェシャは何故、最新のハンディカムを持っているのか、一体何を撮るつもりなのか。彼に関して、まだまだ謎はつきないのだが……。 「チェシャ君、何をしているの?」  不意に、道端に影が落ちると、続けて明るい声が降ってきた。  振り向いたチェシャが見たのは、まるで太陽に向かって咲き誇る向日葵のように、輝く笑みを浮かべたリーテだった。
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