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くそぅ、リズミ姉の手が大きく感じる。女になった時、俺の体型も一回りサイズダウンしたらしい。男の手ならこんなにがっしり握れないだろう。でも今は違う! なんか悔しいなぁ!
そんな俺の思いを露知らず、リズミ姉は至福の表情で俺(見た目はまるで響子)を引っ張っていった。表情の理由は俺にもわからんが。
ああ、教室が遠ざかっていく。生徒会の会議って生徒会室でやるんだろうな。響子が遅刻するはずないから、リズミ姉はきっと響子と入れ違いになったんだろう。ということは響子とはち合わせるな、うん。厄介なことにならなければいいけど……。
あ、もうなってるか。
* * * *
「と、いう訳だ。こっちが姉、響子。で、これが俺」
「ごめんね、みんな。コピー機が故障してて、時間がかかっちゃったの。そのせいで妹と間違われるなんて」
「妹じゃねぇ!」
ここは生徒会室。俺の教室は2階にあって、その1つ上の階にある小さい部屋だ。3年生の教室があるフロアに存在している。
その中は、あり得ない状況で静まりかえっている……と思いきや、実に楽しいムードに包まれていた。なんでやねん。
俺がリズミ姉に連れてこられると同時に、響子も生徒会室に着いたらしい。両手に資料らしいものを抱えながら、目を丸くしていた。だがそれも一瞬。次には楽しそうに笑うのを俺は見逃さなかったぜ。視力2.0あるからな、裸眼で。
なぜか放心状態のリズミ姉を響子と引っ張って中に入って、状況の説明をしたのがたった今のこと、って訳だ。いや、説明間違ってるけども。本当は弟だけれども。
「すっごいね! 双子みたい! 名前は!?」
「け、慧斗です」
「ケイトちゃん! 洋風な名前だね!」
「純和風ですから!」
何なんだこの生徒会役員どもは! ノリが良すぎるわっ! 響子もテキトーな説明しやがって。いや、でも詳しく説明しすぎると逆にヤバくなるか……? 元男がこんな格好してるのはアレだしな。ナイス響子! ……って素直になれるかっ!
そういえばさっきからリズミ姉がおとなしいな。あれだけ騒ぎながら俺を引っ張ってきたというのに、どういうことだ?
見ると、なぜか机の上で腕に顔を伏せている。なんか、あそこだけどんよりしてるな……。一体何なんだ。
そこに響子が話しかけにいった。よし、何とかしてこい響子!
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