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「どしたの? 梨澄」
「うぅ……響子とケイトを間違えるなんて……」
「ううん、誰も気にしてないよ!」
いや、普通気にするわ! 特に俺! だって男だよ! なんで弟と姉を間違えるんだよ!? ……いや、まあ理由はわかるけどね。だってそっくりだもん。……はぁ。
しかし困ったものだな。こうもそっくりだと、今回みたいに響子と間違われる可能性が非常に高い。いや、そもそもさっさと男に戻ればいいんだ。あれ、どうやって戻るんだっけ? ……それを響子に聞こうと思ってたんだ! 忘れてた!
「あの、会長!」
「俺は慧斗だ! わざと間違えただろ!」
「あら、ごめんなさい」
なんだこの書記っぽいポジションの女子学生は。っていうか絶対わざとだ! 響子はリズミ姉のところにいってるし。ちくしょう、いい感じに俺の思考をずらしやがって。
そういえば、リズミ姉はどうなったかな。響子は上手く機嫌をとれたかな? あれ、リズミ姉がいないぞ……? どこだ――
「ケイトぉ!」
「ぎゃああああ!」
なんだああ!? なんでリズミ姉はいきなり俺の背後から抱きついてきたんだ!? 急展開過ぎてついていけねぇ! っていうかリズミ姉のむ、胸が背中に、俺の背中に当たってる! ……いやそれよりも、なんでリズミ姉の手は俺の胸に伸びてきてるんだ……ぎゃああ! 触るな! 痴漢です、ここに痴漢がいます! あれ? 男じゃないから痴漢じゃない? もう訳がわからん!
「ちょ、リズミ姉、何してんだ!?」
「ごめんね、ケイト。私、いつも響子と一緒にいられるケイトが羨ましくて、ちょっと嫌いだった。でも、ケイトの本当の気持ちがわかって、自分が恥ずかしくなったわ。響子への想いは変わらないけど、また昔みたいに一緒にいようね、ケイト!」
「長文のところ悪いがまったく訳がわからん」
リズミ姉をなんとかひき剥がす。正直なところ(背中の感触的に)惜しかったが、こうセクハラされては気色が悪い。そうか、セクハラにあってしまう女の子の気持ちはこんな感じなのか。いやまあ違うとは思うが。
響子の方を見ると、満足そうに笑っていた。あのバカ姉、リズミ姉にあることないこと……ぶっちゃけいらんことを吹き込みやがったな! ちくしょう、なんか最近響子の手のひらの上で踊らされてる気がする!
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