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クラスには女に転身した俺並みに変な奴もいるから、そこまで話題にはならないんだろう。まあその変な奴は追々紹介することにする。今は教室に入らないと。そしてこの格好のことをわのんに説明してもらわないとな。誤解されたらたまらん。
いざ、戦地へ。そう決意して扉に手をかけたのだが。
ドドド、と誰かが駆けてくる音がする。ああ、嫌な予感もする。廊下の端の方から高速で接近する何者か。いったい何なんだ! いい加減俺に平穏をくれ!
そんな俺の嘆きも虚しく、何者かはすぐそこまで迫っていた。
「いたいたぁ! 響子ぉ! 会いたかった――じゃなくて、生徒会会議だよぉ!」
「あいつは……リズミ姉か!?」
俺に向かって突進してくるナイスバディな少女。おかしいな、ここは球場じゃないし、別にあいつはタッチアップして駆けてきたんじゃない。だいたい俺もホームベースじゃねぇ!
まったく、騒がしい奴だな。若干色素が薄く、白がかった長髪を揺らしながら駆けてくる少女。
彼女の名前は水森梨澄(ミズモリ リズミ)。姉ちゃん――響子のクラスメイトで幼なじみだ。つまり俺とも幼なじみで、学年は1つ上だがよく遊んだものだった。昔から響子響子と後をくっついて歩いていたが、気付いたらこんなモデル体型に。それが理由かは俺もわからんが、次第に距離を置くようになったんだよな、リズミ姉とは。
そんなリズミ姉が俺を捜してくるなんて珍しい、とは思わなかった。だって聞こえたもん。『響子ぉ!』ってな!
「はぁはぁ、ほら! いくよ響子ぉ。今日は生徒会の朝の会議の日でしょ!」
「ま、待てリズ――」
「い・い・か・らぁ!」
「うわーん! 人さらいだああ!」
リズミ姉はカールした髪を見せつけるように揺らしながら、俺を強制連行していった。ちょっと待て、なんで俺の左手と恋人繋ぎなんだ!?
いや、おかしい考えは置いておくとして、今は誤解を解くことが重要だ。俺は藤沢会長――つまり響子ではなく、藤沢慧斗だ!
って言ってもすぐに伝わらないのが天然娘、水森梨澄だ。よし、ここはわのんに助けを……っていねぇ!?
「あ、おいしーい!」
あいつ、教室に入ってクラスメイトにお菓子を貰ってやがる! くそ、見捨てられた! 俺<お菓子ってか!? 女の子はこれだから……俺も女だああ!
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