日本昔話列伝・改 MARKⅡ

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絶壁の周囲を妖しげな霧が包み込む。上に上に登っているから霧が起きるのは間違いないんだが...無駄な演出に少し感心します。 「やっぱり...登り辛ぇな...こんな崖じゃ...」 西岡くんは文句を言いながらも果敢に登って道を切り開いてくれている。その後ろを藤本さんと私、そして桃の化身が次々と進んで行くわけだが、今のところ敵が待ち構えている雰囲気は無い。 「本当にこんな場所に武器職人がいるのでしょうカ?」 私から皆への質問。っていうか武器職人ってなんでこんな辺鄙な場所で、文明や産業に関わりづらい場所に住んでるのよ! 「はい、恐らく。スーバはこの奥に奉納されているそうですし、安易に余所の者へ渡らない様に職人様もここ守っている様です」 藤本さんは真剣な表情で進んでいく。すると私達は崖を登りきり、少し開けた場所へ辿りついたのだった。 「よし。道は開けたな。さてここからなのだが...」 桃の化身は目を瞑り、何やら怪しげな呪文を唱える。すると、暗転した目の前に大きな鳥(ハリボテ)が現れた。 「げ、怪鳥じゃねーか!?」 西岡くんは思わず後ずさる。私は彼が逃げ出さないように、背中を掴みその後ろに隠れる。 「やはり、敵が居りましたか...私のタロットでも正位置で月のカードが出ていましたから...」 ★ツッコミポイント★ いやいやこの一瞬でタロット占いをやっていたんかい! て言うかあなたはコンビニの店員だった筈よね? 知らぬ間に戦略室と言うかチームの頭脳になっているけど... 占星術とかにも精通してるし、設定が事故を起こしてるよ! などを考えていると 「貴様ら...人間...いや1匹普通じゃないのが混じっているな」 怪鳥は私達に向かって言葉を投げてきた。謎の怪鳥の羽ばたきによりあたり一面に風圧が起きる。私達はそれに耐えている。 「真ん中にいる女、貴様、何者だ?」 「私は桃の化身。云わば、この地球が遣わした使者だ」 聞いていて恥ずかしいくらいの厨二病設定。それをよくもまぁ、恥ずかしげもなく言ってのけるんだ麻奈美、君は。 「ほう...では貴様の力試してくれる...」 鳥は大きな息を吸うと突風を吐き出した。思わず吹き飛ぶ私と西岡くん。何故だかバリアーを張ってこらえる藤本さん。 桃の化身は一足飛びに敵へ飛びかかると、青龍刀で眼前に斬りかかった。その勢いで怪鳥は一旦、攻撃を止める。 「やるな...では、次行くぞ!」 怪鳥は上空へと消える。そしてすごい勢いで上空から滑空してきた。これはマズイ。非常にマズイ。 何がマズイかって一歩間違えれば、この舞台でパンツをさらけ出してしまう可能性が高いって事だ。
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