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廊下の窓から射し込む月明かりだけが、神坂の輪郭を映し出す。
悔しい程に綺麗な顔がゆっくり近付くのを、ただ息をのんで見つめていた。
アイツの指先が、不意にあたしの頬を撫でて。
甘い何かが、あたしの全身を駆け巡って行く。
ドキドキが止まない。
身体中が心臓になったみたい。
神坂が触れる部分が熱を帯びて。
苦しい程に、愛しくなる。
夜の校舎は不気味な程静かで、音を忘れた世界。
それでも、今、あたしを支配するドキドキは、恐怖なんかじゃなくて。
目の前の神坂に。ドキドキしてる。
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