20XX.9.26

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廊下の窓から射し込む月明かりだけが、神坂の輪郭を映し出す。 悔しい程に綺麗な顔がゆっくり近付くのを、ただ息をのんで見つめていた。 アイツの指先が、不意にあたしの頬を撫でて。 甘い何かが、あたしの全身を駆け巡って行く。 ドキドキが止まない。 身体中が心臓になったみたい。 神坂が触れる部分が熱を帯びて。 苦しい程に、愛しくなる。 夜の校舎は不気味な程静かで、音を忘れた世界。 それでも、今、あたしを支配するドキドキは、恐怖なんかじゃなくて。 目の前の神坂に。ドキドキしてる。 .
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