20XX.9.26

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コツンコツンと響く足音が、少しずつ近付いて来る。 真っ暗な廊下が、懐中電灯のライトに照らされて、小さな残像を残していく。 「オマエ、気付くの遅ぇよ。」 そう簡単に、化けバケだって出るハズもなく、神坂の声であたしは現実に連れ戻された。 「…んぐっ」 頬に添えられたと思っていた指先は、あたしの勘違いなのか。 神坂はあたしの身体をギュウギュウと壁に追いやりながら、その大きな手であたしの口元を塞いだ。 教室のドアの前で立ち止まった人影が、ゆっくりと教室の中にライトを向ける。 掃除用具入れの横に、ベタリと貼り付くかのように身を潜めて、息を殺した。 ちょっ、あたし。何やってんの? .
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