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コツンコツンと響く足音が、少しずつ近付いて来る。
真っ暗な廊下が、懐中電灯のライトに照らされて、小さな残像を残していく。
「オマエ、気付くの遅ぇよ。」
そう簡単に、化けバケだって出るハズもなく、神坂の声であたしは現実に連れ戻された。
「…んぐっ」
頬に添えられたと思っていた指先は、あたしの勘違いなのか。
神坂はあたしの身体をギュウギュウと壁に追いやりながら、その大きな手であたしの口元を塞いだ。
教室のドアの前で立ち止まった人影が、ゆっくりと教室の中にライトを向ける。
掃除用具入れの横に、ベタリと貼り付くかのように身を潜めて、息を殺した。
ちょっ、あたし。何やってんの?
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