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さっきまで青く鈍く光を放っていた月も雲間に隠れ、静かに瞬く星たちだけが夜空を彩る。
二人、言葉を無くしたままで見上げる空は何だか幻想的で。
遠い世界に迷いこんだような、そんな気すら感じさせてくれた。
「……綺麗…だね?」
「だから、イイトコっつったろ?」
神坂はゆっくりとフェンスに近付くと、向こう側へ肘を掛けて、大きく伸びをした。
フフンっと得意気に笑うやんちゃな姿が星の光に包まれていく。
「こんな場所。よく知ってたね?」
神坂の柔らかい髪が、さらさらと風にさらわれる。
「…去年の今頃。文化祭の準備で遅くなった時に見付けたんだ。」
「……そっか…」
「…オマエに、いつか見せてやりたいって思ったから。誰にも教えてない。」
「神坂……。」
…もう少し。その後ろ姿を独り占めしていたくて。
あたしも神坂の背中を追って、フェンスの方へと歩み寄った。
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