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「…こ、神坂…?」
一瞬、何が起きたのか分からなくて。
その長い腕で夜空を仰いで、何かを掴むように手のひらをギュッと握りしめた神坂の姿が、スローモーションのように瞳を掠めた。
「……よっ、と。」
アイツは腕を伸ばしたまま、乗り出したフェンスから身体を降ろして。
ゆっくりとあたしの方へと向き直る。
「え?ちょっと。何……??」
戸惑いを隠せないあたしを見つめながら、神坂は握った手のひらを目の前へ差し出して。
……ふっと優しく微笑んだ。
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