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「………み。…見てみたい……。」
思わず、喉がゴクリと鳴って。
すぐ目の前の神坂にも聞こえたんじゃないかというくらい大きな音に、堪らなく恥ずかしくなる。
「顔あげろって。」
アイツの視線を逃れて俯くあたしの頭上に、柔らかい声が落ちて来る。
顔を上げた先にはやっぱり、神坂の固く握られた右手があって。
“期待している訳じゃない”って。さっきも心の中で言い訳したのに。
あたしは一体。何を期待してるんだろう。
身体が痺れる程に鼓動が高鳴って。
重なる瞳を逸らす事が出来ない。
神坂はいつもと同じように意地悪な笑みを浮かべて、あたしの顔を覗き込んだ。
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