20XX.9.26

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握った手の中身に気を取られ過ぎて、今日もアイツの仕掛けた罠に気付けないまま。 あたしは神坂の熱いキスの感触に溺れていく。 あたし、ほんとバカ。 ……でも。バカで良かった。 そんな風に。バカみたいに幸せを噛みしめながら、ゆっくりと瞳を閉じた。 瞼の裏に焼き付くテレビ塔の赤い照明が、何だか擽ったく感じて。 降り注がれる神坂のキスを受け止めながら、思わず笑みが零れてしまった。 「…オマエ。随分、余裕なんだな?」 不意に口唇を離して、神坂が吐息混じりで囁いた。 「…こ、神坂ほどじゃ、ない、よ…?」 半袖から出る腕にまとわりつく夜風が、少しずつ。 熱を帯びていく。 .
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