0人が本棚に入れています
本棚に追加
「…なに?」
一瞬、なんだか時が止まったかと思った。
真未の目は何かを訴えながらも、全てを拒絶した色をしていた。
『聞かないで』
真未の複雑そうな表情はそう言い放っていた。
「その…い、家どっち?駅までとか、送るよ。」
俺はとっさに逃げた。
今思えば…この選択こそが、全ての後悔の始まりだったのかも知れない。
だけど、俺のそんな発言に真未は安心したのか
「ありがとう。でもまだそこまで暗くないから大丈夫。」
そう言って向けてくれた笑顔は、今まさに沈もうとする夕日が射して、異常に眩しくて…俺は釘付けになった。
『好きだ』
その言葉が妙にしっくりきていた。
ーガラッ
教室のドアが開けられた。
最初のコメントを投稿しよう!