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「く……しゃーない。手っ取り早く山口に電話して、10円チョコでも持ってきてもらうか……」
「いや!!あきらかに友人からのお情けのチョコはいや!!差し引いては俺も彼女が欲しい!!」
懐から携帯を取り出していた純一を制止する。彼女がいれば今日という日が素晴らしいものになるはずなのに……
「今更彼女なんて言うなよ……わがままなヤツだな……じゃあどうしろってんだよ……」
「奇跡と書いてチョコと読む……それはいつどのような形で起こるかわからぬもの……かのナポレオンはこう言った。『チョコが欲しけりゃ口説け!!』と……」
「何をワケのわからんことを……つまりはどういうことだ?」
「手当たり次第女の子に声をかけろってことだぁ!!」
俺は駆け出した。バレンタインデーなんだ。街中の女の子に手当たり次第声をかけてれば、余ったチョコを快く譲ってくれる人だっているはず。それから徐々に関係が深まって恋人同士っていうムフフな展開も……
プライド?
なにそれ?
「少年。チョコはいらないか?」
「早速きたぁぁぁぁぁ!!」
そしてすぐだった。
近くの女の子に声をかけようとしたところ、背丈の低い女の子が何やらチョコを差し出してきた。
やはり俺は何か持ってる……!!
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