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あの日、僕はやっとの思いでデートの約束をし、いそいで丘の上公園へ向かった。それも待ち合わせの1時間も前にだ。きっとあの時の僕はクリスマスにプレゼントを待ちわびる子供のようにはしゃいでいたのかもしれない。家を出た頃にはまだ夕焼け空が僕のことを照らしつけていた。
夕暮れになり、それまではしゃいでいた子供たちの姿も見えなくなる。丘の上公園にはクリスマスのせいなのかいつになくカップルでにぎわっている。自分もあの人たちと同じように待ち合わせているのがうれしくてたまらなかった。丘の下にある商店街ではクリスマス用にきらびやかなイルミネーションが輝きを放ち出す。ついに約束の時間だと僕は胸を高鳴らせた。
どのくらいの時間だろう…。もう約束の時間をとうに過ぎてしまっている。時間も場所もあってるのに…。
イルミネーションの輝きが消えたころも僕はひとり待ち続けた。
2年前のクリスマスイヴ、そのまま、彼女が現れることはなかった……。
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