壁は誰がつくるのか

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「で? 今日は一体何の用だ?」 ネクタイを緩めながら口を開くと、二階堂は待ってましたと言わんばかりに前のめりになって言った。 「ちょっと興味深い話を耳にしてよ。お前に教えてやろうと思って」 「興味深い話?」 訝しげに繰り返すと、二階堂はおもむろにポッケからケータイを取り出した。 慣れた手つきで画面を操作すると、あるホームページを開いた状態でこちらに寄越して見せてくる。 「ん?」 手渡されたケータイには、誰かのブログらしいページが表示されていた。 真っ白な背景に丸いフォント。 煌びやかな装飾に鬱蒼と目を細めると、トップ画にはいわゆる”サギ写”と呼ばれるであろう女の右半分の写真が載せられている。 女子は何故こうも目と前髪と口しか撮りたがらないんだろうか。 「お前こんなのが趣味だったのか?」 確かに女好きの二階堂ではあるが、ここまで派手なギャルが好みだったとは……。 ていうか女子のブログをチェックしていたことに薄ら寒さを感じる。 「ばぁか。確かに好きだけど。問題はここからだっつの」 そう言って俺の手にあるケータイ画面をスクロールさせると、下のほうにある掲示板を開いて何やらパスワードを入れ始めた。 「おま…………」 一連の動作をあっけにとられて見ていると、あっという間に投稿内容が表示された。 先ほどまでとは一転し、真っ黒な背景に白い文字が浮かび上がる。 「これ、読んでみろよ」 そう言って再度差し出されたケータイに目を落とすと、そこには”BI”と称される人物について会話が繰り広げられていた。 「B……I……? は? なんだコレ」 .
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