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応接間とは言っても、ガランとした空間に、机と椅子が置かれているだけの空間だった。
「では、お話の続きを。」
井藤から聞いた話を、簡潔に述べる。
「なるほど。と言うことは、深夜3時から8時の間に、野上は姿を消したということになりますね。」
「しかし、妙なんですよね。井藤は電話が切られて、すぐに折り返し、電話をかけていると言っています。」
「じゃあ、その時はすでに家にはいなかったと?」
「それも考えられません。あの部屋の状況から考えて、野上は何かに対し、非常に怯えています。そんな人が夜中、それも一人で外を出歩くとは思えません。」
「では、第三者が連れ去ったと考えるのが、適切ということですね。」
「そうなんですが、一体、誰が、どのように連れ出したのか。連れ出すには、野上と接触する他、方法はありませんよね?家に誰か招き入れるなんて事も、考えられませんし、電話で呼び出すにしても、その間、井藤と通話をしています。」
「電話を切った直後に呼び出したんじゃ?」
「いや、そのすぐ後に井藤がかけた時には、すでに圏外になってますので、それは考えられません。」
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