四年前の真相

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「あの事件は忘れようにも、忘れられません。世間では、ただの殺人だと思われていますが、そんな生易しいものじゃないんです。犯人の異常性、被害者の殺害状況、現場の悲惨さ、どれをとっても、まともな精神状態では耐えられないものでした。今思い出しても、その景色は克明に目に焼き付いて離れません。」 「どんな状況だったんですか?」 俺は生唾を飲み込んだ。 「まず第一の被害者の殺害状況は首を縄で絞められていたんですが、その縄にカミソリの刃が仕込まれてまして、窒息死というより失血死でした。首には無数の刃がめり込んで、天井や壁一面に、被害者の夥しい量の血が飛び散っていました。顔は苦痛に歪み、縄を取ろうと、もがいたんでしょう、手にも、カミソリによる切り傷がありました。」
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