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作業をする者は一様に砂除けの布を目深に被り、誰もが早く帰りたいと思っているのだろう。
砂地と荒野の入り混じるこの渇いた外界から。
吹き付ける風に髪を遊ばせながら、輝夜は遥かに霞む岩山をぼんやりと見据えた。
稜線は途切れる事なく辺りを一周し、この地が盆地になっている事を語っている。
そのお陰でこの地は今も砂に埋まる事なく存在出来ているのだ。
昔は豊かな森だったと伝えられるそれらは今は岩山と化し所々に枯れ木が佇んでいる。
輝夜は幼少の時分から外に出るのが好きだった。
世界がこのような形になって以来、人間は迫り来る砂に怯えながら城の中で一生を過ごし死んで行く。
そんな中にあって隙を見てはこうして外界に抜け出す輝夜は異端児扱いされ、幾分捻くれて成長した。
砂を巻き上げて駆けて行く風を感じ、名も知らぬ鳥を見上げる。
太陽を体いっぱいに浴びて思いきり伸びをすれば、輝夜はそれだけで満足だった。
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