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『早く起きないと会社に遅刻するわよ』 毎朝 7時きっかりに 母が私を起こしに部屋にやってきては、勢いよく カーテンをあける 「あと5分だけ~」 『何言ってるの。毎朝毎朝起こして貰って有り難いと思いなさい!お母さんだって、いつまでも世話しないわよ。朝ご飯できてるわよ』 母とは 毎朝同じ会話で 一日が始まる。 私が 大学を出て社会人1年生の頃 母は53歳の計算だ。 午前中だけ 近くのスーパーの惣菜コーナーでパートをしている ごく平凡な主婦。 21歳で 私を産んでから そんな平凡な日常を22年間続けてきている主婦。 私も 当たり前の様に 母のように結婚して 子供を産んで 生きていくんだと 考えた事はなかったが、そうなると思っていた。 「お父さん、新聞貸して」 あ、あぁ 父も 普通の人。 普通の父。 口数は少ないが ある程度の存在感を家庭に残している。近年の父親とは まさしく 私の父 と言ってもいいくらいだ。 「あーもう時間ないやあ。いってきます!」 『晩御飯いらないなら早めに連絡してよ。いってらっしゃい』 「わかってるって。じゃあね~」
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