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「その様な人生に意味など無い……徒労に終わり徒労に死す」
「僕には意味がある……僕の人生だもの……作ったのはあなたかも知れないが僕の人生は僕だけの人生……何をしようと勝手だ………どうしても無理だと言うなら百舌鳥にでも飛ばせてもらう……消えてくれ神とやら……あなたとのこの会話こそ徒労、僕は飛行訓練で忙しい」
光は消え、真っ暗闇がサマエルを包んだ
「飛びたいかね?……どうしても」
「誰だあなたは……誰でもいい……例えあなたが百舌鳥でもいい、僕を空へ連れて行け……もう目が見えない様だ」
「見ろ……見える筈だよサマエル………目を開けるのだ………」
微かに重い瞼が動き弱々しく骨と皮だけの赤い蛇が動く
既に生きているか死んでいるのかわからない
だがそこに完璧な蛇がいた
自分とは正反対に青く、数え切れない翼を生やした巨大で神々しい蛇が
「あぁ……あぁ!!……あなたは飛べるのですね!!その翼は!!飛べるのですね!!」
「飛べるともサマエル」
「なんと羨ましい!!僕が求めた姿だ!!その翼!!何度夢に見た事か!!それさえあれば僕も……僕も飛べるのに!!」
「飛べばいいサマエル、君はもう飛べるのだよ……もう君を縛る摂理も必然も無い……神は君を見放した……いや、君が神を見放し……夢を掴んだ、君が神の摂理に勝ったのだ」
「しかし……僕にはあなたの様な立派な翼が無いのです!!翼が無きゃ飛べっこない!!」
「君は自由だと言っている……もはや翼などにも縛られる必要があるか?摂理に逆らい自らを変えた者に」
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