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餓死寸前、個人差はあるが世界がカラフルに見える事があるらしい
生き物が生きる為の食を棄ててまで己を燃焼させる物があるだろうか
それこそ神の摂理、神が生き物に与えた本能を冒涜する行為であろう
寿命を削り、命を削り、蛇と生まれ蛇を見限り体の作りに反する生き方を求め続けた
「蛇よ、汝はなぜ摂理に反する………蛇が飛ぶようには出来てはいない」
「誰…だ……」
「翼無き者空を行けず……それが必然、蛇は地上に居り生を成す……仮に飛べようと必然的に空に蛇が喰える物は無い、喰われるだけだ」
光の中から声がする
幻の類だろうがサマエルは横たわったまま答えた
モーデンの声以外を聞いたのは数年振りだからか妙に懐かしい
「飛んだ後の事を考えてる隙は無い……飛びたいのだ僕は……それだけに総てを注いで来た」
「嘆かわしい者サマエル……ならなぜ飛びたい?空を誰よりも見て来た蛇よ……空に何も無い事くらいは気がついただろう」
「何も無い?……ならなぜ空なんかがある?……なぜ空など作り夢を見させた……なぜ飛べる様にして下さらなかった?なぜ僕を誘惑する?……あぁ……飛んでみたい……」
「汝は異端なりサマエル……神の意に沿わぬ、体の作りに反する事に人生を燃焼させるとは神に対する冒涜」
「また僕が悪いのか……いいさ……僕は総てを棄て飛ぶ事を求めた……良いか悪いかなど問題では無い……飛べるか否かだ、それだけが問題なのだ」
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