青空牢獄

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え?……と首を持ち上げ辺りを見回すモーデンだったがそれは獰猛な百舌鳥の目に留まる ほんの一瞬の出来事 百舌鳥はモーデンに向かい直滑降の様に夜空を滑り一瞬で枝からモーデンを運び去ってしまう 「モーデン!!モーデン!!返事を!!………モーデンッ!!……そんな………モーデン!!」 幾ら呼び掛け様とも夜は静かで、サマエルの見る幻想の風景では無く、現実の風景には何も映りはしなかった 蛇の本当の目はほんの鼻先までしか見えない不自由な目なのだから当然だろう サマエルは必死に、出来る限りのスピードで一本杉を降りるとモーデンを探し回った だがやはり見つからず、サマエルは泣き一本杉に誘った事を悔やんだ 「あぁモーデン……すまない……僕はなんて事を……モーデン……モーデンのお母さんに説明しなくては……きっと僕は酷く怒られ咬まれるだろう……しかし百舌鳥に切り裂かれ串刺しにされるモーデンより……」 だが、木に登る勇気はあってもサマエルにはモーデンの死を伝える勇気が無かった 帰り道を這うにつれ、悪いのは自分では無い、悪いのは百舌鳥だと無理矢理思い込み始めたのだ それでも、やはり家に着き寝ぐらで蜷局を巻くもなかなか眠れずサマエルは震えていた 既に百舌鳥や友達を失った恐怖では無く、バレたらどうしよう、見られてたらどうしようと言う恐怖だったのかもしれない
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