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校長室のドアを開けて、廊下の様子を窺う。薄暗い廊下には誰もいない。耳を澄ませても、足音一つ聞こえない。
光と一緒に忍び足で廊下へ出て、懐中電灯を点けて見回す。二人の目で確認し、確実に何もいないことを確かめた。
「ねえ、正人君。もしかしなくとも、他の皆もああいうのに追われているのかな?」
「そうだろうな。俺達だけが追われて、千尋たちだけ何事もないとは考えにくい」
ここにはおいかみの他にもなにかがいる。おいかみは例外として、状況的にさっきの速い奴といい、幽霊――なのだろうか?
窓に張り付いた男はまだ幽霊と言えるかもしれないが、さっきの走り去った奴はどうだろう。裸足で歩くような足音だったが、走る速度は異常だった。人と考えるより、化け物として考えておいた方が、遭遇した時に少しは心構えもできるだろう。
そういえば……あの窓に張り付いた男にみつけた、と言われた。みつけた、と言われた後、必ず化け物が現れている。
最初は動く手首、次はあの速い奴だ。おいかみはたまたま通りかかったのか? あるいは俺たちが大声を上げたのを聞いて寄ってきたのだろうか。
どうあれ、奴らは俺たちを捕まえようとしているに違いない。
声に反応するなら音でもバレる。徘徊する奴らに見つかってもまずい。そう考えると、例えば廊下だったり、隠れる場所の少ない教室なんかに長居するのは危険だ。
「ここには不可解な敵が多い。みんなが逃げ惑っているとするなら、そう簡単に見つけることは出来ないかもな」
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