幸せの始まり

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ドアを開けた僕は少々ガッカリした。古びた外観とは違い、部屋の中はリフォームされしっかりと洋風の造りになってしまっていた。 「少々眺めは良くないんですけど…」 ガッカリした様子の僕を見て不安になったのか、不動産屋さんは少し落ち着きのない様子だ。 「いえ、気に入りましたよ」 短く答え、僕は部屋の中を見て回る。 見て回ると言っても1Kの狭い部屋だ。特にみる場所もなく僕はなんとなく窓に近寄った。 窓の向こうに隣のマンションが見えた。少々どころか景色など全く見えない。 おそらく陽当たりも良くないのだろう。部屋の中にはなんだかジメっとした空気が広がっていた。 多分… 普通の人なら、好んでここに住むことはないのかも知れない。しかし、僕にはとても魅力的な物件に思えた。
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