幸せの始まり

4/14
前へ
/33ページ
次へ
駅からの距離もそうだが、家賃が安いのも気に入った。貧乏学生の僕には手頃な家賃だし…何よりこの建物の雰囲気に惹かれてしまった。 「ここ、借ります」 僕がそう言うと、不安げだった不動産屋さんは笑顔になった。 「あ!ありがとうございます」 彼は持っていた鞄から書類とペンを取り出し、笑いながら話かけて来た。 「いやー、気に入ってもらって良かった。実は僕、初めて自分ひとりで案内したんで不安で不安で…」 渡された書類に目を通しながら、案内してくれた男性と他愛のない話をした。彼は初めての案内で契約が取れたことを喜んでいた。なんだか僕までつい嬉しくなってしまう。 書類の記入を済ませ、一度不動産屋に戻る事にした。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加