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ポタッポタッ
暗くて冷たい…
…冷たい?
「何で冷たいのぉ!?」
それは水が落ちてるから。
「水?…此処…は?」
「此処はあなたの精神…つまり心の中よ。」
「おばさん!…心の中?」
「そう。あなは此処で自分の力の元を探さなくちゃいけないの。」
「僕の力の元?」
「そうよ。みんな力の元はあるの。それが表に出るか出ないかなの。出る人は能力者とか言われるわ。天界・魔界・精霊界そして人間界。それぞれの共通は力の元がありそれが命だったり、魔力の元だったりするの。人間は大概力の元は出ないで、寿命の中で消えていくの。」
「じゃぁ僕は…」
「昔に天魔界を追放になった人達の子孫だと言う事もあるわ。まぁどっちにしろ力が有ることに変わりは無いわ。」
自分も力のある種族の子孫かもしれない。
だったら水華と離れなくて済む…そんな安堵が伶薙の胸をよぎる。
「さぁ、力の元を探しましょう。」
「はい!」
次第に暗闇だけではなくなり、本の山や、本で出来た家が並んでいた。
「本がいっぱい…」
「伶薙くん本が好きだものねぇ…にしても見事ねぇ…」
何処を見ても本だらけ。
そんなに自分は本が好きなのかと少しショックを受ける。
だから伶薙は気付かなかった。その本の間に、水華との思い出のアルバムが有ったことに。
それに気付いたのは露華だけだった。
ふと伶薙は本棚から落ちた本が有ることに気付く。
やはり本好きにはこの状況は戴けない。
「(あれ?この本父さんの…)」
昔に見たいと駄々をこねた本だ。
今なら見ても…と思い表紙を開く。
だがそこには、何もかかれていない。
不審に思っていると、「中身を見ていないのね。」と露華。
「うん。そうだけど…おばさん何で?」
「見ていない物を記憶はできないからね。」
「あぁそうか!」
そう心とは生きてきた記憶も同然。記憶に無いものは具現出来ないのだ。
だが、本当に何も無いのかと面白半分でページを捲るが、一枚捲り驚く。
そこには穴が空いており、一枚カードが入っていた。
カードを見ると見た目はタロットカードだが、描かれているのは『目』だった。
「あら、早速見つけたわね。」
ニコニコしながら露華は言う。
「タロットカードが凄く印象に有るのね。そうじゃなきゃ別の物を象っている筈だから。」
伶薙の母は幼い頃に亡くなったが、母は占いが好きで良くタロットカードで占いをしていたのだ。
「…お母さん…」
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