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「あら伶薙くん、おはよう。」
「おばさん、おはようございます。水華は起きていますか?町回り行くって約束なんですけど…」
と件の彼、天草 伶薙(アマクサ レイチ)は水華の母・露華に聞いた。
外見は少し伸びた髪に少々の女顔にメガネであるが、メガネは伊達である。
彼もまた水華と同じく少しばかり「その他大勢」からはみ出した少年である。
彼も遺伝的な霊力のため小さいうちから霊が見え、今では除霊まで出来るに至った。
除霊が出来るようになり、力を抑えるための伊達眼鏡を用意したのは他でもない水華だ。
「水華ならもうすぐ来るんじゃないかしら?さっきあの人の水華コールが聞こえたから…」
そう語る母・露華も夫の万樹と同じく人では無い。
強い力を持ちあらゆる闇・夜を司る魔王、それが母・露華の正体であるが、やはり娘・水華にも、ましてや人間の子供である伶薙にも知られてはいない。
「もう少し待っててね。」
ふわっと笑う容姿からは想像もつかないが、戦いにおいてはとてつもなく冷酷になる。がそうならないのは、一重に愛する家族がいるからだろう。
(だけどもうすぐ運命が廻り始める。あの子に本当の事を話すときが…このまま時が止まってくれたら嬉しいけど…)
(刻は近い…)
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