目醒め

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カチャと音を立てながらドアは開く。 「おはよう水華。昨日の今日だけど大丈夫?」 「おはよ伶薙。うん大丈夫。」 二人が昨日と言ったのは町に現れ悪事を働く妖魔などを退治ることなのだ。 「伶薙、依頼来た?」 伶薙の家は教会だ。神父である父に助けを求める声が多いのである。 そんな中の人間ならば解決出来ない事を水華・伶薙・万樹・露華の四人で解決するのだ。 昨日は水華の両親が酒を飲み酔いつぶれてしまったので、水華と伶薙が魔物達を退治したのだ。 「来てたんだよ!町外れの古い洋館何だけど、最近誰も居ないのに物音とかするらしいよ。しかもかなり大きい音だって。」 「イタズラ…じゃないの?」 「違うみたい。最初は周りの人もイタズラじゃぁないかって気にしなかったんだって。でも毎晩続くし、それに…」 と伶薙は言葉をそこで切り身震いした。 「それに?」 「う…血の臭いがするらしいんだよぅ…」 「何だ…そんな事か…」 水華呆れた表情で伶薙を見る。 伶薙は血が大の苦手なのだ。テレビで救命特番なんかを見ると貧血で倒れてしまう。 逆に水華は大量の血を見たからと言って卒倒してしまうような細い神経なんかではない。むしろそんなときも冷静に事を対処するのが水華だ。 「そんな事なんかじゃないよぅ…」 泣きそうになりながら伶薙は水華に答える。 「でも行くからね。泣いたってだめ!行くったら行くの!」 そんな言い合いを続ける二人に、母は「まぁ、取り敢えず朝御飯にしましょうね?」 と優しく言うが、何か逆らえない物がある。 「「はい」」 二人で仲良く返事をし露華の後をついていく。 「(ご飯食べたら行くからね!)」 「(うぅ…分かったよう…)」 「何してるの?早く入りなさい。」 「「は~い」」 二人は無邪気に駆けていく。これから起こることも知らずに。
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