目醒め

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「臭い。」 「臭いね。」 あの後、しっかり朝食を摂った二人は、依頼の洋館前に来ていた。しかし、まだ屋敷にすら辿り着いてもいないのに、錆びた鉄の臭いが辺りに漂っていた。 「…行こうか」 とちらともなく呟き、庭を進む。 すると、茂みから突然何かが出てきた。 「…!水華!」 伶薙は水華に危険を知らせようと名を呼ぶ。が、 「焔よ!」水華が力を発動させる。 別に言葉にしなくても力は使えるが、言葉にしたほうが、使いやすいというだけである。 茂みから飛び出したのは、腐りかけた犬である。 「!ゾンビ…!!!」 ゾンビは魔族でしか作り出せない。 そう二人は水華の母・露華から聞かされていた。だとすると屋敷の中にいるのは魔族ということになる。 母から『魔族がいるとわかれば直ぐに逃げなさい』と何度も言われていた。 「伶薙!帰るよ!」 「えっ!なっなんで!?」 「ここ魔族がいる!!私達じゃぁ何も出来ないよ!」 「!」 来た道を全速力で駆け抜ける。 伶薙は既に水華の術で軽くなり、水華に抱えてもらっている。 (早く!早くお母さんにしらせなきゃ!!) 昔、父から聞いた母の強さ。 それを思い出しながら水華は風のように家へ通じる道を走っていく。 それを屋敷の中から一人の男が見ていた。 「…光と闇…」 そういうと男は屋敷の奥へと姿を消した。 まだ誰も知らない。これが全ての始まりだったことを…
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