俺の天使と下撲が修羅場すぎる

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ガタン―――ゴドッ 『無茶です!わたひなんかとは、きゅらべものにならないくりゃいにょ力を…』 ガタン――― 『知ったことかよ。奪われたら奪い返すのって常識だろ』 ――ゴドン 『おいリム。お前は?お前はどうするんだ』 『ど、どうするって?』 ―――つぎは~〇〇~、〇〇駅~ 『ステラを助けんのか助けないのかだ』 『そんなの……あいつは天使だし…アタシは…』 『立場なんか気にしてんなよ。お前はどうしたいんだ、リム・デストロイヤー』 『………。……着いてく…』 俺は流れるように、ヒコにゃんから彼女の兄が住む場所を聞き出して、財布や携帯を腰に着けるタイプの鞄に詰め込んで、リムとヒコにゃんの腕を掴み引っ張りながら家を出た。 一瞬たりとも躊躇う時間はない。むしろ躊躇う理由がない。 ステラを連れ戻す。ただその一点にのみ頭が働いたからだ。 まったく対策なども考えずに最寄の駅で切符を人数分買い、電車にてヒコにゃんの言った場所まで移動を開始する。 途中駅を幾つか乗り換えて、今は小さな一両編成の列車に揺られながら、美しい緑の風景が続く野山をゆっくりとした速度で進んでいた。 隣ではリムが車窓から見える景色に感動して、まるで緊張感のカケラもなさ気で少し安心した。 もしコイツがガチガチに肩を張っていたら、俺も平常心を揺さ振られていたかもしれない。 …問題なのは正面に座るヒコにゃんだ。 彼女は駅に着いてから一度たりとも顔を上げていない。 だから駅や電車内では俺が手を引っ張って、人とぶつからないようにしていた。 今もなお彼女は重く頭を垂れている。 兄に蔑まされたショックなのか、追い出された場所に手ぶらで戻ることが情けないのか。……それとも、ステラを連れ去られた事が悔しいのだろうか。 ……だとしたら、嬉しい。
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